生産者の声
四万十地域でがんばっているぶしゅかんの生産者を紹介します。

大川筋振興組合

大川筋にある複数の部落の生産者達が集まり中山間地域の活性化を目的に組織された組合です。
代表的な活動としてカヌー事業、地域産品物販事業、キャンプ場運営を「四万十カヌーとキャンプの里かわらっこ」を窓口として取り組んでいます。

最初の頃は家庭菜園ぐらいしかやった事がなく、色んな人から教わりながら不器用に出発したぶしゅかん育成でしたが今では木1本1本、「この子の良い所を伸ばしてあげるには・・・」と考えながらぶしゅかんを育てるのが楽しいです。

もともとの自分は県外から流れて四万十にやってきたのですが、とにかく高知県は酢ミカンや柑橘の種類が多い。その中でもぶしゅかんは世間的にあまり知られていない酢ミカン。なのに「この料理には絶対ぶしゅかんじゃないといかん」とか強いこだわりがあって、言われるまま食べてみると「うまいやん、これ!」と、なるほど納得の説得力。 なのに1歩外に出るとほんとに知られていない不思議な柑橘です。

育てているというのもありますが、ほんとにおいしい酢ミカンなので 自分が四万十に根付いたように、色んな人の記憶の中にぶしゅかんが根付いてくれたらいいなと今日もぶしゅかんを育てています。

ぶしゅかん生産者さんの一年

年の始まりは新しく植える苗木達の定植地の開拓から始まる。使われなくなった土地を開墾し、土を作り、春の苗木を待つ。

3月末頃から新しい1年生の苗達の定植が始まる。 前準備してあった土地に穴を掘り、1本1本丁寧に苗木を植える。植たての苗木はまだ細く、か弱い。その1 つ1つに支えとなる杭を打ち、ネットを被せて覆い1年生の苗木を守る。

ネットで覆い隠すのは1年生苗木の最大の天敵となるカミキリムシが入れない様にするためである。 カミキリムシは主に生木の幹や茎を食べ、そこに卵を産み羽化した幼虫はその木の内部へ侵入し木を食べ進んで成長する。

まだ弱い苗木が一度寄生されてしまえば一たまりもなく枯れてしまうのだ。ネットの後は畑の周りをぐるりと1週、鳥獣除けのための電気柵を張る。 仕掛けはソーラー蓄発電。柵に当たった動物に害は無く、脅し程度の威力のものだ。

苗木の天敵は虫や動物だけではない。周りに生える雑草も時に致命傷を与える原因になる。まだ小さい1年生・2年生の苗木は雑草に成長を抜かれるのだ。背丈が伸び、苗を覆うように雑草が覆えば日が当たらなくなり、成長を妨げる。場合によっては枯らされてしまうのだ。

また、雑草が伸び電気柵に触れてしまうと漏電を起こし、柵が無効化されてしまうため秋を迎えるまで延々と草を刈る作業が続く。雑草の除去に除草剤は使えない。

土に多大なダメージを与え、それは何年も土の中で残る。草刈りに使うのはもっぱらハンディータイプの草刈り機。重機は使わずおよそ2ヘクタールの土地を人の手だけで刈り採っていく。除草に使う重機は便利だが土を過剰に踏み固め雑草が生えづらい環境にしてしまうため、そういう畑にしてはならないと手作業を選択する。

一見、矛盾しているようにもとれるが苗達を想えばこそ。雑草がよく生える畑は土が元気な証拠だ。こちらも土や苗に負担をかけないようにと石岡達の配慮からだ。こうして毎日のように広大な土地を丁寧に刈り採っていく作業が続く。"地道" と言葉に直してしまうと気付き辛いが、それは最も過酷な道なのかもしれない。

ぶしゅかんの収穫の時期。
この時期の生産担当者は大忙し。収穫時期になったぶしゅかんの青果は直径およそ4cm~ 5cm。収穫コンテナに詰められたぶしゅかんからは甘く爽やかな青い香りがする。この独特の皮の香りが酢ミカンとして地元で愛される理由の1つだ。

酢ミカンの代表としてユズやスダチの認知が高い。ユズは独特の柑橘の強い香りでお馴染みの酢ミカン。スダチは青みの香りが強い酢ミカン。ぶしゅかんはその2 つともまた違った青みの中に爽やかな柑橘の甘い香りが混ざる独特の香りを持っている。それが事魚料理はもちろんのこと色々な料理に合う。

この時期、この地域では丁度、宗田鰹(メジカ)のシンコ(新子)が海から騰がる。地元の人達は必ずぶしゅかんを絞って皮を刻みそれをシンコにかけて食べる。「シンコにはぶしゅかん」その定義は昔から、そして今なお崩れることはなくこの地域の風物詩として根付いているこの時期限定の絶品料理だ。

一年の大イベントの収穫を終えたぶしゅかんの木達に「お礼肥」をあげる。実をつけた木にもまだ成長過程の木にも「よくがんばってくれた」、「来年もよろしく頼む」と木1本1本に声をかけながら肥料をあげて木を労う。

ぶしゅかんの木は休眠時期を迎える。 この時期にはぶしゅかんの木の剪定作業と一年を通して疲弊した土をまた元気にするための土作りする。ぶしゅかんの木の枝の形を整え、病気になり枯れてしまった枝を切り木を守る。そして土作り。畑や木に合わせて肥料を選び調整して翌年1年を無事成長し実を結ぶように入念に仕上げ、春を待つ。